どんな食品に多いの?~DHA・EPAを含む食品ランキング~
体と心の健康になくてはならない必須脂肪酸――DHA・EPA。しっかりと摂るには、どんな食品を選べば良いのでしょうか。ここでは、DHA・EPAを豊富に含む食品、その効率的な摂り方や調理での注意点などをご紹介していきたいと思います。
目次
1日400mg程度のDHA・EPAを摂ろう!
日本人の魚離れが進んでいますが、魚から取ることができるDHA・EPAは今最も注目を集めている栄養素の一つです。日本人は比較的、魚を食べていると思いますが、それでも食事から摂るだけでは不足しています。主要各メーカーのDHA・EPA配合量を見てみると、だいたい300mg~500mgというのが多いので1日の目安量は400mg程度摂取できれば十分そうです。
DHA・EPAランキングBEST5――外洋をたくましく泳ぐマッチョな魚たち
DHA・EPAは、サバ、サンマ、イワシ、ブリなどの青魚やマグロのトロなどに豊富に含まれる貴重な栄養素です。それぞれの含有量ベスト5をあげると、次のように最強のメンバーが顔を揃えます。
No.1 | マグロ | 2877mg |
No.2 | ブリ | 1785mg |
No.3 | サバ | 1781mg |
No.4 | サンマ | 1398mg |
No.5 | ウナギ | 1332mg |
No.1 | マイワシ | 1381mg |
No.2 | マグロ | 1288mg |
No.3 | サバ | 1214mg |
No.4 | ブリ | 898mg |
No.5 | サンマ | 844mg |
ベスト5にランキングされた魚たちを見てみると、どれも精悍でぜい肉のないマッチョなボディをしているのが分かります。彼らが厳寒の季節でも激しい潮流をかき分け、元気に大海原を回遊できるのは、エネルギーとしてすばやく燃えて固まらない、DHA・EPAという奇跡のような脂肪(不飽和脂肪酸)を体内に蓄えているからなんですね!
DHA・EPAは数ある食品の中でも魚介類にしか含まれず、また体内でつくられないため、魚からいただくしかありません。毎日の食卓に魚料理をプラスして、不足しているのDHA・EPAをしっかり補給しましょう。
新鮮な旬の魚を選んで!
DHA・EPAを効率よく摂るには、魚はお刺身(生)で食べるのが一番です。脂がのった旬の魚で、新鮮なものを選びましょう。ただ、お刺身だけにこだわる必要はありません。例えば焼きサケなら朝食でよく食べる1切れの1/3ほど、焼きサンマなら1/2尾、シメサバならほんの3切れほどで!下の一覧表を参考に、飽きないよう偏らないよう、美味しい魚料理を工夫してみてください。
食品 | DHA(mg) | EPA(mg) | カロリー(kcal) |
サバの開き(焼き)片身の半分100g | 3100mg | 2200mg | 348kcal |
サバ味噌煮(缶詰)200g | 3000mg | 2200mg | 434kcal |
サバ味付け(缶詰)180g | 2700mg | 1980mg | 387kcal |
サバ切り身(焼き)1切れ100g | 2700mg | 1700mg | 370kcal |
サンマ味付け(缶詰)150g | 2550mg | 1500mg | 323kcal |
サバ水煮(缶詰)180g | 2340mg | 1674mg | 342kcal |
マグロトロ刺身5切れ75g | 2158mg | 968mg | 258kcal |
サケ切り身(焼き)1切れ120g | 2040mg | 1200mg | 354kcal |
ブリ(焼き)1切れ100g | 1900mg | 1000mg | 304kcal |
サンマみりん干し1尾100g | 1600mg | 1000mg | 409kcal |
ウナギ蒲焼1人前100g | 1490mg | 864mg | 293kcal |
タイ刺し身80g | 1464mg | 868mg | 155kcal |
イワシ蒲焼(缶詰)100g | 1400mg | 1800mg | 242kcal |
サンマ(焼き)1尾150g(可食部100g) | 1400mg | 650mg | 299kcal |
サンマ蒲焼(缶詰)100g | 1300mg | 1000mg | 242kcal |
シメサバ5切れ50g | 1300mg | 800mg | 175kcal |
イワシ味付け(缶詰)100g | 1100mg | 1400mg | 212kcal |
ハマチ刺身5切れ60g | 1037mg | 927mg | 116kcal |
カツオタタキ6切れ100g | 970mg | 400mg | 165kcal |
イワシみりん干し1尾70g | 910mg | 980mg | 232kcal |
オイルサーディン(缶詰)105g | 850mg | 892mg | 377kcal |
蒸しアナゴ1人前100g | 760mg | 510mg | 194kcal |
イワシ(焼き)1尾100g(可食部50g) | 750mg | 600mg | 122kcal |
メザシ(焼き)5尾65g | 611mg | 423mg | 159kcal |
シシャモ生干し(焼き)5尾100g | 530mg | 650mg | 177kcal |
スモークサーモン5枚60g | 240mg | 126mg | 83kcal |
イクラ(寿司1個分)10g | 200mg | 160mg | 27kcal |
タラコ(生)1本30g | 180mg | 153mg | 42kcal |
辛子明太子1本25g | 133mg | 105mg | 32kcal |
カマボコ厚さ11mm×5枚65g | 85mg | 49mg | 60kcal |
マグロ油漬けフレーク(缶詰)80g | 52mg | 11mg | 214kcal |
魚肉ソーセージ1本95g | 48mg | 17mg | 153kcal |
皮にも内臓にもDHA・EPAがいっぱい!
魚に含まれるDHA・EPAといえば身の部分と考えがちですが、実は身の部分に含まれるのは30.9%程度で、全体の1/3にも及びません。他にも頭や骨に34.9%、皮に14.4%、内臓に6.7%というようにDHA・EPAは全身に分布しています。特に皮と身の間にはたっぷり含まれていますので、焼サケの皮を残すという人はとっても勿体ないことになります。
もともと小魚などを丸ごと食べるのは、生命を育む栄養素を丸ごといただくわけで、「一物全体」といって体にとても良いことです。その意味でも、食べられる部分はできるだけ残さず食べるようにしたいですね。
*出典:東京水産振興会「日常的な水産物摂取とその効果に関する食生態学的研究」より
魚のDHA・EPAを逃がさない調理のポイント
魚のDHA・EPAはこわれやすい?!
DHA・EPAは溶けやすく加熱に弱いので、調理には注意が必要です。魚を煮たり焼いたりするとおよそ20%の栄養分が、フライなどの揚げ物にすると半分近くの栄養分が煮汁や揚げ油の中に溶け出してしまいます。ホイル焼きや蒸し焼きにして大切な成分が失われないよう工夫したり、煮物にするときは煮汁も一緒に食べるようにしましょう。揚げ物はNGといっても、シシャモやイワシなどの小魚をから揚げで食べたいと思うこともありますよね。揚げ物にすれば骨に含まれるカルシウムやビタミンD、内臓に含まれる鉄分や亜鉛などを丸ごと摂れるメリットも大きいので、あまり神経質になる必要はありません。
調理に使う油については、DHAやEPAの働きを相殺するリノール酸の入ったサラダ油などはできるだけ避け、マリネやカルパッチョなど冷たい料理にはオメガ3系の亜麻仁油やエゴマ油を、加熱料理にはオメガ9系のオリーブオイルを使うようにしましょう。
意外な実力者、魚の缶詰を活用しよう!
上の一覧表に見る通り、DHA・EPAを効率よく摂るのに何かと便利なのが魚の缶詰です。TVの健康情報番組がきっかけで、スーパーの陳列棚から姿を消すほど話題になった「サバの水煮」をはじめ、いずれ劣らぬ実力者揃い。骨まで食べられて栄養満点、下ごしらえが済んだ状態ですから、ちょっと手を加えるだけで美味しい時短クッキングができます。価格も100円~200円と手頃ですから、一時のブームに終わらせず毎日の献立に上手に取り入れていきたいですね。缶の底の汁の中にもDHA・EPAはたっぷり含まれていますから、汁も捨てずに料理に活かしましょう。
DHA・EPAをしっかり摂れるおすすめレシピ
●イワシ
小さな体にDHA・EPAがたっぷり、特にEPAの含有量は魚介類の中でトップクラスです。新鮮なイワシが手に入ったら、ぜひ試したいのがマリネ。マリネ液に使われるオリーブオイルとビネガーの力で、健康効果もさらにアップします。
●マグロ
いつものお刺身をアレンジしたネギトロ丼や、トロをたたいて団子にしたネギトロ団子汁などがオススメ。汁に溶け出した栄養素もしっかり摂れます。マグロをステーキにするときは、溶け出した脂も捨てずにソースに混ぜて使いましょう。
●サケ
DHA・EPAを逃がさない料理法なら、ホイル焼きがオススメです。サケの切り身と好みの野菜やキノコ類をアルミホイルで包み、オーブントースターや魚用グリルで蒸し焼きにします。簡単なのに絶品の美味しさなので、他の魚でも試してみましょう。
●ブリ
相性バツグンの大根と、ブリ大根を作ってみましょう。ブリは冬が旬、脂がのったブリはだし汁を使わなくても、その旨みだけでコクのある煮ものになります。ほっこりと心も温まるブリ大根でたっぷり栄養補給して、冬を元気に過ごしましょう。
●カツオ
春に摂れる初ガツオと秋に揚がる戻りガツオがありますが、DHA・EPAが豊富なのは秋の方。高たんぱく低脂肪のヘルシーなカツオはたたきのほかに、表面を焼いて薄切りにし、野菜と一緒にオリーブオイル+ゴマ+ポン酢しょうゆで和えたサラダも美味しいですよ。
●サバ
鮮度の良い刺し身用のサバは、漬け丼にして楽しみましょう。ぶつ切りにした生サバを、しょう油、ゴマ、おろし生姜などを混ぜたつけ汁に漬け、冷蔵庫で約15分間冷やすだけ。炊き立てアツアツのご飯にかければ、あまりの美味しさにお箸が止まりません。